【かんむり座T新星爆発】いつ、どうすれば見える?非常に明るく肉眼でも!
(出典 www.bepal.net)

北の夜空には、新しい星がまもなく現れるかもしれません。

その出現は、数日後かもしれませんし、数カ月かかるかもしれません。

天文学者たちは、その星の輝きを80年近く待ち続けてきました。

「かんむり座T星」は、太陽系から約3,000光年離れた、かんむり座の方向にある共生星系(連星)です。

新星爆発は何度も繰り返されますが、通常は数千年から数万年といった間隔で起こると考えられています。

ただし、白色矮星の質量が大きく、また伴星からのガスの流入量が多い場合は、数十年の間隔で爆発することもあります。

このような天体は「再帰新星」や「反復新星」と呼ばれています。

そして、再帰新星の一つである「かんむり座T星」が、近いうちに新星爆発を起こしそうだと話題になっています。

では、この「かんむり座T新星爆発」は、いつ、どうすれば見えるのでしょうか?

約80年ごとに爆発する再帰新星「かんむり座T星」何度も繰り返し爆発する原因は?

「かんむり座T星」は、春の星座かんむり座の一部に位置する星です。

通常は、10等級で、肉眼でも望遠鏡でも見るのが難しい暗い星ですが、およそ80年ごとに爆発によって明るさが増し、そのたびに2~3等級まで明るくなります。

増光すると、かんむり座に見える星の数も増え、星座全体の印象が大きく変わることになります。

また、「再帰新星(さいきしんせい)」とは、短い間隔で爆発現象が繰り返される新星のことを指します。

「かんむり座T星」の光は、一つの宇宙天体が爆発した結果ではなく、互いを中心に回る2つの死にゆく星が関係し合うことによって生じています。

大きい方の星である「赤色巨星」は、太陽とほぼ同じ質量を持ちながら、水素やヘリウムなどの物質を失いつつあります。

赤色巨星から放出される物質の一部は、相手である「白色矮星」に引き寄せられています。

白色矮星は、地球とほぼ同じ大きさですが、太陽よりも40%以上も多くの物質を含んでおり、非常に高密度です。

白色矮星が赤色巨星の排出物を吸収すると、その温度と密度が上昇し続けます。

そして約80年ごとに限界点に達し、強力な核融合反応を引き起こして爆発してしまうのです。(参考記事:「白色矮星が赤色矮星を「攻撃」、奇妙な連星を発見」

「かんむり座T星」の以前の爆発は?今いつ爆発が起きてもおかしくない!

「かんむり座T星」は、これまでに2回爆発が観測されており、1866年には2.0等まで明るくなり、1946年には3.0等と記録されていますが、実際には数日前におよそ2等で輝いたとされています。

これらの観測から、「かんむり座T星」は、約80年周期で爆発する再帰新星と考えられ、次回の爆発は2026年ごろに起こるとされていました。

80年周期で次は2026年に起こると予想されますが、予兆の記録も重要です。

前回の1946年の爆発前には、1938年から徐々に明るくなり、1945年1月ごろに暗くなりました。

そして約1年後の1946年2月に新星爆発が起きました。

今回は2015年ごろから少しずつ明るくなっていましたが、2023年2月から暗くなっています。

前回の記録を見れば、今いつ爆発が起きてもおかしくないということになります。

「かんむり座T星」はいつ、どうすれば見える?

爆発が起こるタイミングは確実に予測することはできません。

NASAは、今から9月までの間でいつでも起こる可能性があると述べていますが、一方で、この連星系を詳しく研究してきたスターフィールド氏(米アリゾナ州立大学の教授)は、これは推測に過ぎず、実際に爆発が見えるまでには、何年もかかる可能性があると指摘しています。

爆発が起こった場合、それは星を観察する人たちにとって一瞬の貴重な機会となるでしょう。

しかし、上空を見上げながら、「かんむり座T星」を肉眼で見たいと思っても、それができるのは2、3晩だけなのだそうです。

「爆発は短く、ピークの明るさは数時間しか続きません。そして、急速に暗くなり始め、わずか1週間で肉眼で見える明るさから消えてしまいます」 「普通の人にとっては、外に出て上空を見上げながら、かんむり座T星を肉眼で見たいと思っても、それができるのは2、3晩だけです」(米ルイジアナ州立大学名誉教授かんむり座T星に関する研究第一人者ブラッドリー・シェーファー氏)

National Geographic 2024.04.29『80年に一度現れる新星がもうすぐ夜空に、かんむり座T星』

FAM8

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