最近、Twitter(現X)でよく目にする謎のキャラクターが気になっている方も多いのではないでしょうか?
長い手足と奇妙な顔立ち、どこか不安を掻き立てるような雰囲気を持つこのキャラクター。
まるで神話や伝説から飛び出してきたようですが、実際のところ、このキャラクターはどこから来たのでしょうか?
この記事では、このキャラクターの正体や、なぜSNSで急速に広まったのかについて解説します。
Contents
このキャラクターは神話由来なのか?
まず、結論から言うと、このキャラクターは特定の神話や伝説に登場するわけではありません。
ギリシャ神話や日本の民話に登場するケンタウロスや天狗などと異なり、明確な神話的背景を持っていない創作キャラクターです。
Yahoo!知恵袋などの情報によると、多くのユーザーが「このキャラクターは何かの神話に登場する存在なのか?」と疑問を抱いていますが、実際にはそのような由来は確認されていません。
そのため、このキャラクターはあくまで「それっぽい」デザインとして描かれたものと考えられますが、いったい誰が描いたのでしょうか?
フランスの画家ルイ・ル・ブルトンによる挿絵
この画像に描かれているキャラクターは、フランスの画家ルイ・ル・ブルトンによる挿絵で、19世紀のオカルト辞典『地獄の辞典(Dictionnaire Infernal)』に登場する悪魔の一つです。
『地獄の辞典』は、フランスの著述家コラン・ド・プランシーが1818年に初版を発行した書籍で、悪魔や精霊、迷信に関する情報を網羅した辞書形式の書籍です。
ルイ・ル・ブルトンは、1863年版の『地獄の辞典』に69点以上の悪魔のイラストを描き、その独特なデザインは後世の悪魔学や創作文化に大きな影響を与えました。
このキャラクターもその一例で、奇妙な姿と不気味さが特徴的です。具体的な悪魔名は明示されていませんが、このような擬人化された悪魔たちは、当時のヨーロッパ文化や宗教観に基づいて描かれたものです。
このキャラクターは、特定の神話に基づいたものではなく、プランシーとル・ブルトンによる創作として描かれた悪魔です。
『地獄の辞典』とは?
『地獄の辞典(Dictionnaire Infernal)』は、19世紀のフランスの文筆家コラン・ド・プランシーによって編纂された、悪魔学やオカルトに関する百科事典です。
1818年に初版が発行され、その後何度も改訂が行われました。最終的な第6版(1863年版)では、総項目数は3,799項目に達し、悪魔や精霊、迷信、占いなどに関する膨大な情報が収録されています。
特に有名な悪魔としては、堕天使ルシファーや七つの大罪を司る悪魔マモンなどが挙げられます。また、地獄の釜に油を注ぎ続ける下級悪魔ウコバクなども登場し、多様なキャラクターが描かれています。
1863年版では、フランス人画家ルイ・ル・ブルトンによる挿絵が追加されました。
これらの挿絵は非常に印象的であり、後世の悪魔学や創作文化に大きな影響を与えました。
例えば、「巨大なハエ」として描かれたベルゼブブ(ベルゼビュート)は、『地獄の辞典』を象徴する一例としてよく引用されます。
また、この挿絵群はその後、多くのグリモワール(魔術書)でも使用されており、現代でもオカルト文化やホラー作品に影響を与え続けています。
『地獄の辞典』はその後も多くのオカルト書籍やフィクション作品に引用されており、その挿絵はパブリックドメインとなっているため、多くのメディアで再利用されています。
特にSNS上では、このような奇妙で不気味なデザインがミーム化されることもあり、その影響力は今なお健在です。
『地獄の辞典』は単なるオカルト書籍という枠を超え、19世紀フランスで流行した怪奇趣味やロマン主義文学にも影響を与えた重要な文化的遺産と言えるでしょう。
なぜこの画像がSNSに投稿されているのか?
このような画像がSNSで頻繁に投稿される理由は、主に以下の要因によるものです:
1. ミーム文化の影響
このキャラクターの画像がTwitterをはじめとするSNSで盛んにシェアされている背景には、インターネットミームやオンラインコミュニティ独特の文化が関係していると考えられます。
現代のSNS文化では、「一見すると意味が分からない」「何かの元ネタがありそうだが、詳しくは不明」という曖昧さや謎めいた要素が、興味を引きやすく、ミームとして拡散しやすい傾向にあります。
SNS上では、奇妙で不気味なキャラクターが「ミーム」として拡散されやすいことが知られています。
特に、このような印象的なビジュアルはユーザーの目を引きやすく、ジョークや風刺的な文脈で使われることが多いです。
例えば、「This is me」や「Hey, it's me...」といったコメントと共に、このキャラクターが自分自身を表現するシンボルとして使われることがあります。
2. オカルトやレトロデザインへの関心
近年、オカルトやホラー、ヴィンテージデザインへの関心が再燃しており、『地獄の辞典』のような古典的なオカルト書籍も再評価されています。
この挿絵はパブリックドメインとなっているため、自由に利用できることから、多くのユーザーがSNSでシェアしやすい状況にあります。こうしたキャラクターが拡散される理由の一つには、「視覚的にインパクトがある」という点が挙げられます。
奇妙で不気味なデザインや、どこか愛嬌のある表情などが、見る人に強い印象を残します。
また、こうしたキャラクターを「何か意味のあるもの」として解釈したくなる心理も働き、「これは古い伝説の登場人物ではないか?」「このキャラクターにはどんな背景があるのか?」といった興味をかき立てます。
3. 承認欲求と共感
SNSに投稿される多くのコンテンツには、「承認欲求」や「共感してほしい」という心理的要素が含まれています。
このキャラクターも、その奇妙さやユーモラスな外見から、多くのユーザーに共感を呼び起こし、「いいね」やコメントを得るために投稿されている可能性があります。
また、自分を風刺的に表現する手段として、このキャラクターが使われることもあります。
まとめ
この画像は『地獄の辞典』という歴史的なオカルト書籍から派生したものであり、その独特なデザインと現代のミーム文化との相性から、SNS上で広まっています。
ユーザーはこのキャラクターを通じて、自分自身を表現したり、ジョークとして楽しんだりしているため、今後もこうした画像がSNS上で見られる機会は増えるでしょう。