米国のタイム誌は、世界に影響を与え、将来的に活躍が期待される「次世代の100人」を毎年発表しています。
そして、2023年の「次世代の100人」には、元自衛官であり、性被害を訴えたことで知られる五ノ井里奈さんと、衆院議員の英利アルフィヤさんが日本から選ばれました。
五ノ井里奈さんは、陸上自衛隊郡山駐屯地所属時に男性の同僚から性的な行為を受けたことを告発し、自らの名前で訴えた勇気が認められたとされています。
どんな方なのでしょうか?
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五ノ井里奈さん、米タイム誌「次世代の100人」に選出!
アメリカの有力誌「タイム」が13日、「次世代の100人」を発表し、元陸上自衛官であり、自衛隊内で性被害を告発した五ノ井里奈さんが選ばれました。
五ノ井さんは、福島県郡山駐屯地に勤務していた際、複数の男性隊員から性被害を受けていたことを実名で告発しました。
五ノ井さんがタイム誌に紹介された際、ジャーナリストの伊藤詩織さんが自身も性被害を告発した経験を持ち、五ノ井さんの行動が政府関係者を動かし、自衛隊内での大規模な調査が開始されたことを寄稿しました。
さらに、五ノ井さんの勇気は日本において性暴力について発言することがタブー視されてきた状況を変え、全ての性暴力サバイバーのために扉を開いたと称えられました。
五ノ井里奈さんwikiプロフィール!
五ノ井里奈(ごのい・りな)さんは、1999年に宮城県で生まれました。
五ノ井さんは、母親が病気であることを知り、母からの「強くなりなさい」という言葉に触発されて柔道を始めました。
幼少期から柔道を始め、その結果、中学校から高校までの期間に、全国大会でベスト16に入るほどの実力を身につけました。
五ノ井さんは、最初は地元の高校に通っていましたが、何らかの理由で中退しました。
その後、兵庫県立飾磨工業高等学校に転校し、柔道を続け、全国高校選手権の兵庫予選63キロ級で優勝しました。
高校時代の柔道の実績が評価され、2019年に山口県の東亜大学・スポーツ健康学科に入学しました。
大学1年生の時にも、山口県予選会で1位になり、柔道の実力を更に向上させました。
大学進学後、柔道部監督が辞任し、目標を失ったことから半年で中退。
2011年の東日本大震災で被災し、災害支援に来た女性自衛官に憧れて、2020年に陸上自衛隊に入隊しました。
その後、陸上自衛隊の自衛官候補生として入隊し、陸上自衛隊の郡山駐屯地に所属し、2021年8月3日の北海道演習中に同僚の隊員男性自衛官3人によるわいせつ被害を受け、警務隊に被害届を提出しました。
2022年6月に退官しました。
しかし、2022年5月31日に不起訴処分となり、その後退官し、この出来事をYouTubeで公開したところ多くの人々から支持を得ていくことになります。
その後、不起訴処分が不当であるとして再度捜査が行われ、元隊員5人が国に対して損害賠償を求める民事訴訟を起こしました。
そして、2023年1月30日には福島地検が元隊員3人を強制わいせつ罪で在宅起訴し、現在も公判が続いています。
アメリカのタイム誌は、五ノ井さんについて「性暴力を話すことがタブー視されてきた日本で被害者が声を上げる扉を開いた」と評価し、「次世代の100人」の一人に選出されました。
✓ 名 前: 五ノ井里奈(ごのい りな)
✓ 生年月日: 1999年9月29日(23歳)
✓ 出生地 : 宮城県石巻市
✓ 出身高校: 兵庫県立飾磨工業高等学校
✓ 出身大学: 東亜大学人間科学部
✓ 職 業: 元自衛官
五ノ井里奈さんの現在の活動は?
23歳の元陸上自衛官、五ノ井里奈さんの初めての自叙伝「声をあげて」が、小学館から5月に出版されました。
この本には、自衛隊内での性的被害から自らの尊厳を取り戻すために立ち上がった彼女の姿が描かれています。
出版前に、彼女は「この本が声を上げる人々にとって希望を捨てずに頑張るきっかけになることを願っています」と語りました。
さらに「私がこだわったのは、自分の弱さを公表することでした。世間では、性的被害を実名で告発することで「強いイメージ」が印象に残っていると感じますが、「私も他の人と同じように弱い要素を持っている人間です。それでも声を上げることができたということを、認めてほしい」と述べています。
そして現在の五ノ井里奈さんは、幼少期から熱心に取り組んでいた柔道で新たな一歩を踏み出しました。
去年の7月から、元日本代表の小見川道大さんが率いる「小見川道場」(横浜市青葉区)で講師として指導することになりました。
五ノ井さんは、「柔道が私を支えてくれました。柔道という軸を失わず、今後も生きていきたいと思います」と語り、目を輝かせています。
実は、五ノ井さんは、講師として指導することを直前まで悩んでいました。
性暴力を加害された人々が国に対して損害賠償を求めて提訴し、その後もネット上での誹謗中傷が増加していたため、「人が怖くて家から出られない」という理由で、講師として指導することの中止も検討していたとのことでした。
そんな五ノ井さんの背中を押したのは、道場の代表であり総合格闘家としても活躍している小見川道大さんだったのです。
小見川さんは、「中止したら、顔も見せずに中傷しているヤツらの思うつぼですから。だって悔しいじゃないですか」と述べた。
去年の6月、五ノ井さんが陸自を退職して被害を告発することを決めた時、小見川さんに相談し、「道場で働かせてもらえないか」と頼んだそうです。
宮城県の実家にいた五ノ井さんを面接し、その場で採用を決めた理由は、「とにかく柔道が好きでたまらないことが伝わってきた」ということだったそうです。(朝日新聞「何度投げられても立ち上がる」性暴力告発の五ノ井里奈さんが歩む道」より)