ヒカキンが5000万円で購入したリザードンカードが、現在では、その半額である2500万円にまで値下がりしています。
このニュースは、多くのポケモンカードファンや投資家にとって驚きと共に失望をもたらしました。
ポケモンカードは近年、1枚が数万円から数千万円で取引される「投資資産」として注目を浴び、バブル状態となっていました。
しかし、最近ではその価格が大幅に下落しており、ファンや投資家からは「ポケモンカードの時代は終わったのか?」という声が上がっています。
なぜこのような事態になったのか、背景を探ってみましょう。
ポケモンカードのバブルとその崩壊
ポケモンカードが高額で取引されるようになったのは、2016年の20周年を迎えた頃からです。
この時期、ポケモンカードは「子供向けのゲーム」から「遊べる美術品」という認識に変わり、投資対象としても注目を集めました。
特に希少価値の高いカードは、数百万から数千万円で取引されることもありました。
このバブルを引き起こした一因には、転売ヤーやインフルエンサーの存在が挙げられます。
転売ヤーは、希少なカードを買い占め、価格を吊り上げることで利益を得ようとしました。
また、人気YouTuberがポケモンカードを取り上げることで、視聴者がカードを購入する動機となり、需要が急増しました。
例えば、ヒカキンが5000万円でリザードンカードを購入したことは、大きな話題となり、その後の価格高騰を後押ししました。
しかし、2023年の夏頃から状況は一変します。
ポケモンカードの供給が需要に追いつき始め、大量生産されたボックスが市場に出回るようになりました。
これにより、ボックスのプレミア化が落ち着き、シングルカードの価格も全体的に下落しました。
また、投資目的でポケモンカードを購入していた人々が市場から離れたことで、さらに価格の下落が進みました。
【引用】「ポケモンカード市場は、なぜ崩壊しつつあるのか、トレーディングカード専門家の後藤寛氏に話を聞いた。"供給が需要に追いついたこと、投資家離れが価格下落の要因です"」
SmartFLASH, 2024年6月17日
専門家の見解
ポケモンカード市場の変動について、トレーディングカード専門家の後藤寛氏は以下のように述べています。
まず、価格下落の大きな要因として「ボックスの供給が需要に追いついたこと」が挙げられます。ポケモンカードは通常、5〜10枚のカードが入った「パック」と、そのパックが10〜30セット入った「ボックス」で販売されます。
バブル期には、ボックスが品薄状態で、その希少性から高値がついていました。
しかし、2023年の夏ごろからメーカーが大量生産を開始し、市場にボックスが供給されるようになると、プレミアム価格が次第に落ち着きました。
この供給増加により、フリマアプリや買取市場には大量のカードが流れ込み、シングルカードの価格も全体的に下がりました。
さらに、これまで投資目的でカードを購入していた人々が、価格高騰が期待できなくなったことで市場から離れたことも、価格下落に拍車をかけました。
後藤氏は、こう説明しています。「ボックスの供給より需要が増えることは今後ほぼなくなり、投資熱はさらに冷めると思われます。ただ、これはバブルが終わっただけで、ポケモンカードの人気は依然として高いままです。」(SmartFLASH, 2024年6月17日)
「ポケモンカードのバブル崩壊を不安視していない専門家もいます。"ボックスの供給が需要を上回ることはなくなり、投資熱が冷めても人気は依然として高い。"」
(SmartFLASH, 2024年6月17日)
ポケモンカード市場の未来
ポケモンカード市場の未来について、専門家はどのように見ているのでしょうか。
後藤寛氏によると、バブルが終わったからといって、ポケモンカードの人気が完全に消えるわけではありません。
むしろ、価格が安定したことで、投資家だけでなく、本来のファンやプレイヤーにとってアクセスしやすい市場に戻ることが期待されています。
また、バブルによってポケモンカードの知名度が向上し、新たなプレイヤー層が増えたことも大きな要因です。
YouTuberが取り上げることで、その視聴者である子供たちやその親が新たな購入者となり、市場の裾野が広がりました。
このように、バブル崩壊はポケモンカード市場の健全化に寄与するとともに、長期的な人気を支える基盤を作り上げたとも言えます。
今後の価格動向については、安定期に入ると見られていますが、特定の条件下では再び高騰する可能性もあります。
例えば、ポケモンカードの30周年や特別なイベントが開催される際には、記念カードや限定カードがプレミアム価格になることが予想されます。
また、大会での賞品やイベント限定品なども依然として高い価値を保つでしょう。
【「市場の裾野はバブル前より拡大しているのです。バブル崩壊というより、正常に戻ったと言ったほうがよいでしょう。これから数年は価格も落ち着くと思いますが、30周年など大きな節目が起これば、再び高騰すると予想します。」
SmartFLASH, 2024年6月17日
まとめ
ヒカキンが5000万円で購入したリザードンカードが半額に値下がりした背景には、ポケモンカード市場のバブルとその崩壊がありました。
供給が需要に追いついたことや、投資家が市場から離れたことが、価格下落の主要な要因となりました。
しかし、この価格の調整は、ポケモンカード市場が正常化に向かう過程であり、長期的にはファンやプレイヤーにとって好ましい状況と言えます。
バブルの時期にポケモンカードの知名度が上がり、新たなプレイヤー層が増えたことも見逃せません。
YouTuberの影響や大量生産による供給増加は、一時的な混乱を招きましたが、結果的に市場を広げ、より多くの人々がポケモンカードを楽しむきっかけとなりました。
今後もポケモンカードは、多くのファンに愛され続けるでしょう。
価格は落ち着くと予想されていますが、特定のイベントや記念日には再び高騰する可能性があります。また、大会の賞品やイベント限定品など、一部のカードは引き続き高い価値を保つでしょう。
最終的に、ポケモンカード市場は投資家だけでなく、真のファンが楽しめる健全な市場に戻ることが期待されています。市場の変動に一喜一憂せず、ポケモンカードの魅力を純粋に楽しむことが大切です。
「バブル崩壊というより、正常に戻ったと言ったほうがよいでしょう。これから数年は価格も落ち着くと思いますが、30周年など大きな節目が起これば、再び高騰すると予想します。また、大会での賞品やイベント限定品などは、変わらずプレミアがつく可能性が高く、そちらを狙う投資家は今後も残ると思います。」
SmartFLASH, 2024年6月17日