2024年2月10日、英国ガーディアンによると、オランダのドリス・ファン・アフト元首相が夫人と自宅で手を握り、安楽死によって生涯を閉じたと報道しました。
アフト元首相は、93歳でした。
オランダ元首相夫妻は、なぜ安楽死をする選択をしたのでしょう?
また、オランダでは、なぜ安楽死が認められているのでしょうか?
今回は、オランダの元首相夫妻の安楽死の理由とオランダで安楽死が認められている現状をまとめてみます。
どうぞ最後までご覧ください。
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オランダ元首相夫妻が手を繋いだまま安楽死!その理由は?
オランダの元首相夫妻が、合法的な安楽死を選び、手を取り合って共に最期を迎えたというニュースが報じられました。
夫妻は共に93歳で、お互いの存在なしでは生きていけないと語っていたそうです。
このニュースは米ニュースメディア『New York Post』などが伝えています。
オランダは、世界で初めて安楽死が合法化された国として知られています。
アフトさんは、2019年、パレスチナ人の追悼行事の演説中に脳出血を起こし、一命を取り留めたものの、後遺症が残ってしまいました。
また、アフトさんの妻ユージェニー・ファン・アフト=クレーケルベルグさんも重い病気を抱えており、健康状態が以前から悪化していたようです。
そして、夫妻が安楽死を選んだ理由について、同人権団体の理事は「お互いなしでは生きていけなかった」と語っています。
アフトさんは、70年間も一緒に過ごし、支えてきた妻ユージェニーさんと手を取り合って亡くなりました。
彼は、いつも最愛の妻を『マイ・ガール』と呼んでいました。夫妻が亡くなった後、葬儀は非公開で行われたそうです。
ちなみに、米国のニュースメディア『New York Post』によると、オランダでは安楽死が合法ですが、カップルが同時に決断するケースは比較的珍しいと報じられています。
しかし、オランダの公共放送局『NOS』によると、カップルが一緒に安楽死するケースは年々増加しており、2021年には16組、2022年には29組と前年より13組増加していたそうです。
オランダでは安楽死が合法なのはなぜか?
現在、世界中で自発的かつ積極的な安楽死が法律によって認められているのは、オランダだけです。
オランダでは、個人が自分の尊厳と苦痛をコントロールする権利を重視する文化があります。
そのため、耐え難い苦痛を抱える患者が、自らの意志で死を選ぶ権利を認めるべきという考え方が根強いのです。
医療技術の発展により、病状の進行を遅らせたり、痛みを軽減したりすることは可能になりましたが、それでもなお、耐え難い苦痛を抱える患者が存在します。
安楽死は、そのような患者にとって、苦痛からの解放手段として考えられているのです。
オランダでは、医師は患者の苦痛を軽減する義務を負っています。そのため、治療が不可能で、患者の苦痛が大きい場合には、安楽死を一つの選択肢として提示することが倫理的に許容されています。
安楽死が合法化される一方で、オランダでは厳格な制度が設けられています。
安楽死が認められるためには、以下の「王立オランダ医師会の公式見解の中の「6要件」の勧告」の条件を満たす必要があります。
- 患者本人の明確な意思表示
- 耐え難い身体的または精神的な苦痛
- 回復の見込みがない
- 複数の医師による診断と意見の一致
- 患者本人の家族への説明
- 倫理委員会による審査
オランダで安楽死が合法化されている理由は、自己決定権の尊重、苦痛からの解放、医師の倫理など、様々な要因が複雑に絡み合っています。
一方で、安楽死には倫理的な問題や宗教的な問題など、多くの課題も存在します。今後も、安楽死に関する議論は続いていくでしょう。
オランダ元首相夫妻が安楽死を選択したことについての国民の感想は?
オランダ元首相夫妻が安楽死を選択したことは、オランダ国内だけでなく世界中で大きなニュースとなりました。
オランダ国民の多くは、夫妻の選択を尊重しつつも、安楽死というテーマについて改めて考えさせられたようです。
夫妻の選択を尊重する声
長年にわたって病と闘ってきた夫妻の苦痛を理解し、安らか最期を迎えられるように選択したことを尊重する声が多くありました。
オランダでは安楽死が合法化されており、個人の尊厳と苦痛をコントロールする権利を重視する文化があるため、夫妻の選択を理解しやすい国民が多いようです。
オランダの世論調査機関が行った調査によると、74%の国民が夫妻の安楽死を選択したことを理解していることが分かっています。
一方で、安楽死を合法化することに反対する人は19%いることも分かっており、安楽死に対する国民の考え方は必ずしも一致しているわけではありません。
安楽死は、個人の尊厳、苦痛の軽減、医師の倫理など、様々な問題を絡み合わせた複雑なテーマであり、今後も議論が続いていくでしょう。
安楽死への複雑な思い
夫妻の選択を尊重しながらも、安楽死というテーマについて複雑な思いを抱く人も少なくありません。
安楽死は倫理的な問題や宗教的な問題など、多くの課題を抱えているため、簡単に賛成や反対できないという声が多く聞かれました。
まとめ
オランダ元首相夫妻が安楽死を選択したことは、オランダ国内だけでなく世界中で安楽死に関する議論を活性化させました。安楽死は、個人の尊厳、苦痛の軽減、医師の倫理など、様々な問題を絡み合わせた複雑なテーマであり、今後も議論が続いていくでしょう。