2024年11月15日から、X(旧Twitter)の利用規約が改定され、ユーザーが投稿したコンテンツが同社の生成AI「Grok」の学習に使用されることになりました。
この変更により、多くのユーザーが自分の投稿が無断でAIに学習されることを懸念しています。
この記事では、XでのAI学習を防ぐための具体的な対策と、他にできるリスク回避方法について詳しく解説します。
Contents
1. はじめに:XでのAI学習とは?
近年、生成AIの急速な発展に伴い、SNSプラットフォーム上でユーザーの投稿をAI学習に活用するケースが増えてきました。
X(旧Twitter)も、2023年11月15日から利用規約を変更し、AI学習にユーザーのデータを使用する可能性があることを明らかにしました。
Xは2024年11月15日から、ユーザーが投稿したテキスト、画像、動画などをAI学習に利用することを明確にしました。
これは、Xの機械学習モデル「Grok」のトレーニングデータとしてこれらのコンテンツが使用されることを意味します。
具体的には、投稿されたコンテンツを使用してAIがより高度な生成や分析を行うためのデータとして活用されます。
この変更により、アーティストやクリエイターをはじめとする多くのユーザーが、著作物が無断でAIの学習に利用されることへの懸念を抱いています。
このような状況で、「XでのAI学習による影響をどのように対策できるのか?」と疑問を持つ方も少なくありません。
本記事では、Xの新しい利用規約がクリエイターにどのような影響を与えるのかを説明するとともに、対策方法について詳しく解説します。
2. Xの新利用規約の詳細:なぜ問題視されているのか?
2023年11月15日からXで施行される新しい利用規約では、Xに投稿されたユーザーのコンテンツがAIの学習目的で利用される可能性が高まっています。
この規約変更により、ユーザーの投稿、画像、テキストが、AIモデルを開発・改善するための学習データとして使用されるとされます。
特に問題視されているのは、ユーザーの許可を得ずにこのような利用が行われる点です。
Xの新規約におけるAI学習に関する記述
新たな規約では、以下のような変更が見られます。
- Xが収集するデータには、ユーザーが投稿したテキストや画像が含まれることが明記されている。
- AIや機械学習に基づいたアルゴリズムの向上を目的として、ユーザーのコンテンツが無断で利用される可能性がある。
このような利用が可能になることで、アートやデザイン、文章などの著作物が自動的に学習データに組み込まれ、不正利用されるリスクが生じています。
なぜ問題視されているのか?
この規約変更により、多くのユーザーは以下のような懸念を抱いています:
- 著作権侵害:自分が作成したイラストや写真が無断でAIに学習され、他者によって利用される可能性。
- プライバシー侵害:個人的な投稿や写真が意図せずAIによって解析・利用されるリスク。
- 無報酬利用:投稿したコンテンツが商業的に利用されても報酬が発生しない点。
3. XでAI学習を防ぐための対策
Xの新しい利用規約がもたらす影響を踏まえ、対策をいくつかご紹介します。
幸いにも、Xでは一部設定を変更することで、自分のコンテンツがAI学習に使用されないようにすることが可能です。
これらの対策は、投稿したコンテンツがAIの学習に無断で利用されるリスクを軽減するために有効です。
以下はその手順です:
- 「設定とプライバシー」メニューへ移動:Xのサイドバーから「設定とプライバシー」をクリックします。
- 「プライバシーと安全」を選択:次に、「プライバシーと安全」をクリックします。
- 「Grok」設定をオフにする:画面下部にある「Grok」の項目を見つけ、「ポストに加えて、Grokでのやり取り、インプット、結果をトレーニングと調整に利用することを許可する」の青いチェックボックスをクリックして無効化します。
この設定を行うことで、自分の投稿がGrokによって学習されることを防ぐことができます。
ただし、この設定は完全ではなく、他人によって引用やリポストされた場合、そのコンテンツは引き続き学習対象となる可能性があります。
他にもできる対策
X内でできる設定以外にも、以下のような対策を講じることで、自分のコンテンツを守ることができます:
1. AI学習阻害フィルターやノイズツールを使う
画像やイラストの場合、AIによる学習を妨害するためにノイズフィルターや専用ツールを使用する方法があります。
一部のツールには、画像に「AIが認識しにくい加工」を施す機能が搭載されています。
画像にわずかなノイズやフィルターをかけることで、AIが容易に認識できないようにする技術があります。
例えば、「Glaze」や「Nightshade」といったツールは、画像データに特殊なノイズを加えることでAIが正確に学習できないようにする効果があります。
これらのツールは特にアーティストやクリエイターにとって有効です。
2. 投稿先を選ぶ
X以外にも、自分の作品や情報を公開する場として他のSNSやプラットフォームを検討することも有効です。
例えば、一部SNSでは生成AIによるデータ収集を拒否するオプトアウト機能があります。
また、自分専用のウェブサイトであれば、Webクローラーによるデータ収集を制限するための設定(例:robots.txt)も可能です。
ウェブサイト上で公開しているコンテンツについては、robots.txtファイルを利用してWebクローラーのアクセスを制限できます。
これにより、自分のサイトからデータが自動的に収集されるのを防ぐことができます。
具体的には、以下のような設定でクローラーのアクセスを拒否します:
User-agent: *
Disallow: /
3. 透かしや著作権表記
自分の作品に透かし(ウォーターマーク)や著作権表記を追加することで、不正利用や無断転載への抑止力となります。
特に視覚的に特徴のあるデザインやフォントを使用したウォーターマークは、画像を利用しようとする第三者にとって目障りなため、AI学習のデータとして利用されるリスクを減らします。
また、透かしの位置や内容を定期的に変えることで、AIが無視できない要素として機能させることも効果的です。
これもAIによる無断学習への対策として有効です。
まとめ
XでのAI学習は多くのユーザーにとって懸念材料ですが、適切な対策を講じることでリスクを最小限に抑えることが可能です。
まずは設定でGrokによる学習をオフにし、さらにノイズフィルターや透かしなど追加対策も検討しましょう。また、自分の作品や情報が不正利用されないよう、投稿先についても慎重になることが大切です。
今後も生成AI技術は進化していくため、新しいリスクへの対応も必要になります。常に最新情報をチェックし、自分自身や作品を守るための最善策を講じていきましょう。