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廃坑を「重力バッテリー」として利用することで、世界の電気をまかなえる可能性・・・の記事の要約
目的の資源はとれなくなってしまったが、また別の使い道があるという。
風力や太陽光のような再生可能エネルギーの課題の1つは、余分に作られた電気をどうやって溜めておくのかということだ。
国際応用システム分析研究所が提唱するアイデアでは、まず余った電気で砂などの重りを廃坑のリフトで持ち上げる。
エネルギーが必要になったら、リフトごと重りを落下させてタービンを回し、これによって発電する。
つまりは余剰電気を位置エネルギーとして蓄えておき、重力によって発電するのである。
じつは重力蓄電システムは、古くて新しい技術だ。
ダムでは夜間など電力需要の低い時間帯に、余った電力で水を上に組み上げておく。
昼になったら水を下に流し、それによって回転するタービンで発電する。
だが重力蓄電の場合、エネルギーは物体の位置エネルギーとして蓄えられるので、放置したからといって減ってしまうことはない。
廃坑を重力蓄電システムに転用しようというアイデアには、それならではの魅力がある。
廃坑とはいえ、ほとんどの場合、基本的なインフラは整っており、電力網にも接続されているので転用も楽だ。
もう1つの魅力は、地域社会に大きなメリットがあることだ。
一般に、鉱山が閉鎖されれば、大勢の失業者が出る。
もしその地域が社会経済を鉱山に大きく依存していた場合、それは壊滅的な打撃になるだろう。
電力が必要になったら、砂入りコンテナをリフトで下降させる。
このとき回生ブレーキを使って発電し、電気が必要な各地へと送電するのだ。
研究チームの試算によると、地下重力蓄電のコストを1キロワット時に換算すると、1~10ドルであるという。
ほとんどの廃坑は中国、インド、ロシア、米国に集中しているとのことだが、その効果は絶大。
世界全体で7~70テラワット時を発電できる可能性がある。
ちなみに、2021年の世界のエネルギー消費量は約25テラワット時。
まさに世界の電力需要をカバーできるほど、電気を蓄えておけるのだ。
まだ初期段階のアイデアだが、再生可能エネルギーをどう貯めるのかという課題に、大きな影響を与える可能性がある。
研究チームの次のステップは、より大きな規模で実現可能性を検証することであるそうだ。
研究チームのベヘナム・ザケリ氏は、廃坑を蓄電システムに転換するというアイデアについてこう述べている。
脱炭素社会を実現するには、既存のリソースを活用した革新的な解決策に基づき、エネルギーシステムを見直す必要があります。
廃坑を電池に転換するというアイデアは、身の周りにたくさんある解決法の一例です。
(元記事の出典:カラパイヤ)
『グリーンエネルギーのムラを補い世界で稼働? 電力を位置エネルギーに変換する「重力バッテリー」実用化へ』の記事の要約
電力を位置エネルギーに変換して貯蔵するシステム「重力バッテリー」が注目されている...... Energy Vault
こんな研究が実用化へ向けて進んでいる。
重力バッテリーは、電力を位置エネルギーに変換して貯蔵するシステムだ。
太陽光発電などによる発電量のムラを吸収し、供給を安定化する手段として注目されている。
市中の発電量に余裕のある場面では、電力網から供給される電力を消費し、重量の大きな重りを高所へと移動する。
のちに電力が逼迫したタイミングで、重りを低所に下ろして発電するしくみだ。
米科学解説誌のポピュラー・メカニクスは、具体的に廃坑においては、砂を利用する研究が進んでいると報じている。
早ければ来年、プロトタイプが稼働
英BBCは、早ければ2024年にも世界初のプロトタイプがチェコの地下深くで稼働する可能性があると報じている。
15メートルの高さから50トンの鉄の重りを下ろしたところ、250kWの電力を生み出すことに成功したという。
同社は、小規模な実験でありながら、約750世帯を一時的にまかなえるだけの電力を得られたと発表している。
廃坑の深さは少なくとも300メートルあるものが多く、ものによってはそれよりも深い。
アメリカでも廃坑は約55万ヶ所に存在すると推定されており、導入の候補地は十分に存在するようだ。
太陽光発電や風力発電などに代表されるグリーンエネルギーは、環境に優しいサステイナブルな電力として注目される一方、供給の安定性に課題が指摘されている。
余剰電力を蓄積しておける重力バッテリーは、こうした不安定な発電方法と非常に相性が良い。
空気鉄電池とは、鉄を酸化させたり、その逆に酸素を除去して還元することで、繰り返し使用できるバッテリーの機能を持たせたものだ。
高い位置に引き上げた重量体を保管しておくだけで、位置エネルギーが確実に保存される。
化学電池は使用に伴って劣化が進み、蓄電可能な最大容量が低下してゆく。
これに対して重力バッテリーは劣化のおそれがなく、仮にメンテナンスが必要だとしても、故障した機械部品を交換する程度だ。
グラビトリシティ社はBBCに対し、長期的なランニングコストを抑えることができると説明している。
高低差のある2箇所にダムを築き、水を両者のあいだで移動させる。
夜間などに上部ダムへ汲み上げることで位置エネルギーを蓄積し、日中の電力消費のピーク時にタービンを通じて下部ダムへと放水して発電する。
BBCによると、現時点で世界の大容量エネルギー保存施設の90%以上を揚水発電が占めている。
同記事によると、急峻な斜面かつ水量の豊富な地点に建設する必要があり地形条件が厳しいことや、莫大な資本を投じても完成に至らない例があるなど課題も多い。
重力バッテリーも位置エネルギーを活用する視点は同じだが、新たにダムなど巨大なインフラを建設しなくてよいメリットがある。
蓄電設備の主要部分を地下に設けることができるため、景観への影響も最小限に抑えることができるとされている。
重量物の保管に廃坑が耐えるか、そして浸水がないかなど、使用停止後の坑道を再開するには一定のハードルがあるようだ。
今後の研究しだいでは、グリーンエネルギーを安定化させる相棒として、重力バッテリーが世界で稼働するようになるかもしれない。
(元記事の出典:ニューズウィーク日本版)
『電力を位置エネルギーに変換する「重力バッテリー」』に関連する動画
各国の重力発電の設計思想がその国らしくて面白いという話題です - YouTube (出典 Youtube) |
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