【円は130円でも高すぎる】日銀公認の「超円安」はどこまで行くか
(出典 www.j-cast.com)

【円は130円でも高すぎる】日銀公認の「超円安」はどこまで行くか・・ネットの反応まとめ!

過去30年ぐらいの円の実質実効為替レートの動きを見ていくと、現在の水準は、実は過去30年のなかでもっとも円安に近いところにいるのです。

もう少し正確な言い方をすると、1985年の年初あたりの円レートと現在の円レートは、実質実効為替レートでほぼ同じ水準だということです。ちなみに、1985年の年初ですが、円ドルレートで見ると、だいたい240円でした。

当時240円だった円ドルレートが、いまは100円前後です。

この二つが同じ水準であるというのはどういうことかと疑問を持たれる方がいらっしゃるかもしれませんが、実はこれが実質実効為替レートというものを意味しているのです。

つまり、ドル以外の通貨の動きを見る一方で、日本の物価が下がり、アメリカの物価が上がっているという状況のなか、ほかの国の物価も上がってきているということを勘案すると、そうなるということです。

 

(池田 信夫:経済学者、アゴラ研究所代表取締役所長)

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 外国為替市場で、1ドルが130円の大台に乗った。130円をつけたのは2002年以来、20年ぶり。ウクライナ戦争直前の115円から、2カ月で12%という急激な値下がりである。

 このきっかけは日銀の金融政策決定会合で、「指し値オペを毎営業日やる」という強硬な方針が決まったためだが、130円は通過点だろう。円はまだ高すぎるからだ。

黒田総裁の宣言した「円売り介入」

 長期金利を事実上0.25%以下に固定する異例のオペレーションについて、日銀の黒田総裁は記者会見で「憶測を払拭するためだ」として量的緩和を今後も続ける決意を示し、「円安が日本経済にとって全体としてプラスだという評価は変えていない」と述べた。

 これが外為市場には円安容認と受け止められたわけだが、彼はそれを想定していたようにみえる。図1のように、短期的にはドル/円レートは日米の長期金利の差で決まるので、日米の金利差が拡大している中で日本の長期金利を固定するのは、円売り介入と実質的に同じである。

 130円になっても黒田総裁が円安に誘導するのは、最適水準がもっと円安だと考えているからだろう。これは彼が総裁になったときからの一貫した方針で、日銀のインフレ目標も実質的には円安ターゲティングだった。

 この円安は、どこまで行くのだろうか。為替レートが何で決まるかについては諸説ある。変動相場制を提案したミルトン・フリードマンが想定していたのは、貿易黒字も赤字もなくなって世界全体で一物一価になる購買力平価PPP)だった。

 このPPPを簡単に示すのがエコノミスト誌の「ビッグマック指数」だが、これでみるとビッグマックの価格は日本では390円だが、アメリカでは5.44ドルなので、1ドル=130円で換算すると707円。円はPPPより45%も過小評価されている。

 それが均衡に戻るとすれば、1ドル=71円ぐらいに上がるはずだが、そう考えている人は、市場関係者にも経済学者にもいない。それは外為市場が、ビッグマックのような商品の取引を決済する市場ではないからだ。

円は130円でも高すぎる

 為替取引の99%は為替投機であり、そこで取引される資金の均衡を決めるのは資金需給である。それを決めるのは、短期的には実質金利だが、長期的には何で決まるだろうか。

 1つの要因は、貯蓄=投資バランスである。図2のように日本の家計は戦後、一貫して貯蓄過剰だったが、1990年代までは企業が投資していたので、貯蓄と投資のバランスは取れていた。

 ところが1998年の金融危機を境に企業が貯蓄超過になり、需要不足でデフレになった。その原因は当初は銀行が不良債権を清算して資金を回収したためだったが、その後も中小企業が経営破綻を恐れて現金を保有する傾向が強まった。

 企業がカネを借りて投資するのが資本主義なので、企業が貯蓄しているようでは停滞するのは当たり前だ。会計的には、国内の貯蓄超過は政府か海外で埋めるしかないので、次の式が成り立つ。

 貯蓄超過=政府投資+海外投資

 この貯蓄超過(需要不足)は普通は金利で調整されるが、2000年代に金利がゼロになっても、この貯蓄超過は埋まらなかった。それを埋めたのが、財政赤字(官公需)と経常収支黒字(外需)だった。

 経常収支の黒字は、2000年代まではほとんど貿易黒字(輸出)だったが、2010年代には低金利で海外直接投資を行う企業が増え、所得収支の黒字(海外法人の利益)が増えた。これは停滞する国内市場から成長するアジアへのキャピタルフライ(資本逃避)で、これが円安要因になった。

 2020年にはコロナ対策で大幅な財政赤字になったが、これはそのまま家計の強制貯蓄になったので、今も民間は大幅な貯蓄超過になっており、これを埋めるのは財政赤字か経常収支の黒字しかない。

 つまり経常収支の黒字は少なすぎるので、それを増やすにはもっと円安になって経常収支の黒字を増やす必要があるのだ。これは直感的にはわかりにくいと思うが、国内の需要不足を海外需要で埋めるという点では同じである。

 ただし輸出産業の雇用は国内で発生するので国内総生産(GDP)に含まれるが、海外法人の利益(所得収支の黒字)はGDPに含まれない。国内の過剰貯蓄が海外に流出して、アジア人の雇用を生んでいるのだ。それが日本人の賃金が上がらない根本的な理由である。

「資源インフレ」の是正にはエネルギー政策の転換が必要だ

 では円はどこまで下がるだろうか。これを考える上では、ドル/円だけではなく、全通貨に対する実質実効為替レートを考える必要がある。これでみると現在は歴史的に最低の水準にあるが、それ以上に交易条件が急速に悪化している。

 交易条件とは輸出物価/輸入物価で、日本が輸出品でどれだけ輸入品(特に一次産品)を買えるかという指標だ。その最大の要因は資源価格である。

 2020年から原油価格の上昇と脱炭素化による化石燃料への投資削減で、資源価格が上がり、交易条件は大幅に悪化した。この資源インフレで貿易収支が赤字になり、経常収支も今年は赤字になった。

 さらにウクライナ戦争でロシアに対する経済制裁などで化石燃料の供給が減ったため、化石燃料を自給できない日本はさらに貿易赤字が拡大する見通しだ。このため3月から急激な円安になった。つまり、

 ・日米金利差の拡大
 ・強制貯蓄による貯蓄過剰
 ・資源価格の上昇

 という3つの条件が重なり、急激な円安が起こっているのだ。円が上がる要因はないが、どこまで下がれば落ち着くかの答えは、この3つの条件のどれを重視するかに依存する。

 日米の実質金利の差を重視するなら、今のアメリカ長期金利は約2.8%だが、予想インフレ率も約2.8%なので、実は日本とそれほど大きく違わない。今後、FRB(連邦準備制度理事会)が政策金利を引き上げると長期金利も上がるが、実質金利の差はそれほど拡大しないだろう。

 強制貯蓄による貯蓄過剰は一時的な現象なので、為替レートにはそれほど影響しないが、これが今後、家計金融資産のキャピタルフライトで海外投資に流れると、円が暴落して通貨危機になる可能性もある。この場合は1ドル=150円も考えられる。

 そこまで円が下がると、海外に脱出した企業が日本に回帰し、外資が日本に投資するようになるかもしれない。この場合の外資は主として中国やアジアだろうが、日本が法人税を下げれば「アジアの国際金融センター」になることも不可能ではない。

 最大の問題は資源インフレである。これは戦争による一時的な要因だけではなく、脱炭素化や日本のエネルギー構成の脆弱性といった構造的な問題を含むので、日銀にはどうにもならない。

 この点で「物価高対策」に6.2兆円の補正予算を出す岸田内閣と日銀の政策はチグハグである。物価高を止める方法は簡単である。日銀が指し値オペをやめて、長期金利を市場にまかせればいいのだ。資源高に対応するためには、岸田政権が日本のエネルギー戦略を転換する必要がある。

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<このニュースへのネットの反応>

二か月で15円の変動、このまま何もしないで注視するとか言っているなら、150円も目前だろうな

 

煽ってるね~ むしろ円安はありがたいのに。そりゃガスとかは高くつくけど、輸出と合わせてトータルで見なきゃな

 

自動車などの製造業は大幅に業績を上方修正してるのに悪い円安って何だよ。 結局、コロナ規制や原発停止が不況の原因なのを為替に責任転嫁してるだけじゃん。

 

今の日本人は目先の物価高よりも未来の方に目が向いています。目先の損得を考えて暮らしていられるのは平穏な証拠です。長い事、平穏な時代が続いて来ましたが、今は有事の時。綺麗事ばかりじゃ説得力無いですよねえw。言い方に品が無いですが、今、日本は、勝ち馬に乗ろう必死に食らいついています。辛酸舐めて、日本だって学んで来たんです。意外と強かだと思います。滅亡しないw。

 

円安だろうが円高だろうがそれ自体は良くも悪くも無い。ただ急激な変動というのは良いものではないのは確か。でも金利引き上げとかやったら日本経済*し、うまく軟着陸できるようにしてほしいところ。

 

餠() ガスとかって言うが、食料油、小麦粉、大豆、半導体も輸入しないといけないんだぞ。輸出と合わせてと言うが、現地生産が主流になりつつある今、輸出による利益は昔ほど出ないぞ。トータルで見て円安がありがたいと思える要素はないぞ

 

>ゲスト トータルで見るなら円高による失業率の増加も要素に入れろよ。

 

くぁzwsxそれを入れた所で円安が損なのは変わらん

 

何がまずいって物価だけ上がって給与が上がらないのがまずい。

 

マスコミが煽っているほど円安が悪く無いのは確かだ、後は株が上がってくれると良いが。

 

円安が悪いことばかりではないのは確かだが、反日外国勢力が日本国内の資産を買いやすくなるのが心配なので、その辺の対策が欲しいところ。特に中国。

 

相場の良し悪しは立場によって変わるとしか言えない。円安を嘆く一方で、円安でしかできない事もある。デンソーと台湾UMCが、車載パワー半導体を日本国内で協業して生産する記事を見かけた。国内に企業の拠点が増える、戻ってくる。日本経済の活性化には良い事だ。物価は上がるが、給料も上がる。大事なのはどう利用するかとバランスだよ。

 

まだまだ下がるかもよ…w

 

あー・・・まず、海外の人って日本の土地をそんなにすぐ買えないし利用できない。ただ、日本にとってマイナスだろうな。いまのままだと。普通自国の通貨が安くなるときは経済が弱いとき。でもそういう時は「 観光業 」で金を稼ぐ。しかし現状「 コロナ禍 」で外国人の流入が制限されてるから、あまり日本にとってうれしくない。 

 

 この円安状態で、カナダドルとかオーストラリアドルとか価値が据え置きだと、カナダとオーストラリアの平均年収は日本円で700万円とかそのくらいになるのか、それ以上か?・・・。日本もずいぶん貧乏になったな。円安が進んで困るのは若い人よりも年金暮らしの老人とかだよね。少しずつ円安が進むのが理想。

 

円高・円安は、政策の結果でしかないし。ここで危機感煽ったり、金利を上げろーとか言うのは、ただの財務省の子分だという話がある。まあ、海外に頼らずに国内で作って国内で消費すればいいんじゃない。

 

そもそも経済不況は世界的に起こってるし、その根本的な原因は中国のコロナとロシアの侵攻なんですけどね?

 

自国通貨高、安、というものは自由主義国家であれば自国経済と他国の諸々の行いの結果でしかない。そこを意図的に操作しようとすれば、有体に言えば共産主義や社会主義経済となる。但し、その手の輩が動いた所為で起きたであろう歪みと思われるモノは是正するために介入する必要がある時はありますか。つまり余り無理やり動*と弊害の方が大きいんですよ、殆どの場合。

 

世銀がPPPに基づく各国通貨の換算レートを経年で公開している。それによれば円の換算レートは1ドル110円前後のはずだ。先進国の通貨はPPPの換算レートより通常は高値で取引される。130円はどう考えても円安にふれ過ぎ。

 

さらに円安が進むと輸入品が買いにくくなって生活は苦しくなりますよね。得をするのは企業だけ、にはならないことを願います。

 

円高だ!と不安を煽る論調は中に財政支出ヤメロなどしれっと含めており、財務省の差し金っぽい。

 

80円の円高に比べればこの程度は異常でもなんでもないでしょ

 

99%が投機。つまり真水ではないところで起こっているただのマネー戦争という話になるな。実体経済なんてマネーゲームから見たら誤差の範囲なのか

 

目先の輸出関連企業の決算が上方修正されるから良しとするとかさすがにアホすぎる

 

FAM8

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