【大丈夫?米海軍】原潜がロシア領海から逃走?バイデン政権でさらに弱体化の米海軍
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【大丈夫?米海軍】原潜がロシア領海から逃走?バイデン政権でさらに弱体化の米海軍の記事から思う

アメリカ海軍の原潜がロシア海域から逃走の記事を読み、かつては世界の警察、最大の軍隊と呼ばれ「威光」を放っていたアメリカ軍のメンツは丸つぶれに思うが、アメリカは否定していますね。

これが事実か否かは別として、バイデン政権が弱腰というのが気になりますね。

そんな意見がアメリカの支配的な雰囲気を醸し出せば、望まないドナルド・トランプの再選の道を拡げることになりかねませんから。

(北村 淳:軍事社会学者)

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バイデン政権はロシア軍によるウクライナ侵攻の危機が差し迫っているとして軍事的対抗準備態勢を固めている。

そのようなバイデン政権ならびに米軍最高首脳部に対して、アメリカ海軍関係者などの反中派からは、アメリカ最大の軍事的脅威は中国であり、アメリカ国防戦略はインド太平洋戦域での優勢維持を最優先事項に据えていることを見失っているのではないか? あるいは、中国との対決をウクライナ問題によってはぐらかせてしまおうと試みているのではないのか? といった疑義の声が上がっている。

練度の低下を中国から揶揄される米海軍

米中の軍事的対決(戦闘に至る以前の対峙を含めて)は海軍を中心とする海洋戦力において決せられることになる。ところが、本コラムでも繰り返し取り上げているように、アメリカ海軍では、戦力、士気、造艦能力、メンテナンス能力、いずれの分野においても弱体化が進んでいることはアメリカ国防当局自身も認めざるを得ない状況にある。

中国との対決に舵を切ったトランプ政権は大海軍の再興を掲げたものの、その後のアメリカ海洋戦力の強化が順調に進んでいるとは言えない。たとえば2021年に就役した水上戦闘艦の数だけを比較してみても、アメリカ海軍がわずか3隻であるのに対して中国海軍は22隻と、圧倒的に中国側が優勢だ。

おまけに、アメリカ海軍は昨年(2021年)秋には南シナ海で攻撃原潜を海底(といわれている)に衝突させる事故を引き起こし、今年の1月にはやはり南シナ海でF-35C戦闘機が空母への着艦を失敗し墜落する事故を引き起こした。そうした事故の連続は練度の低下の現れに他ならないと中国側から揶揄されている状態である。

そして、それらの失態に引き続いて2月12日には、アメリカ海軍原子力潜水艦ロシア領海で探知されて逃走を余儀なくされるという醜態も晒してしまったようである。

最大速度でロシア領海から逃走?

ロシア国防省によると、モスクワ時間2月12日10時40分、ロシア海軍が演習を実施していた千島列島得撫島(ウルップ島)付近のロシア領海内で、ロシア海軍はアメリカ海軍バージニア級攻撃原子力潜水艦を探知した。ロシア側は水中交信システムを使用してアメリカ原潜に警告を発し浮上を要求したが、アメリカ原潜は無視した。

そこでロシアの対潜駆逐艦マーシャル・シャポシニコフ」が国境保護のための対抗手段(内容は未公表)を発動すると、アメリカ原潜は自走式目標分割模擬弾を起動してレーダーシステムと音響システム上で追尾目標を倍増させつつ最大速度でロシア領海から逃走したという。

ロシア当局はモスクワ駐在アメリカ武官を召喚して公式に抗議した(国際海洋法によると、潜水艦が他国の領海内を航行する場合には、海面に浮上して国旗を掲揚しながら航行しなければならない)。

これに対してアメリカ太平洋艦隊司令部は、ロシア側が主張しているような事案は発生しておらず、アメリカ海軍艦艇は国際水域において安全に作戦を遂行している、と全面的に否定している。

アメリカでは1月下旬に、民主党連邦議員たちが、ウクライナ情勢で米国そしてNATO側が優位に立つためには、潜水艦戦の分野でロシア側を牽制することも不可欠である、といった旨の主張を唱えていた。ロシア海軍が多数の潜水艦を繰り出してきている状況に対抗するためには、空母艦隊を展開させての目に見える形での示威行動以上に、潜水艦分野での牽制強化が必要不可欠であり極めて重要だ、というのである。

このため、アメリカ海軍ロシア周辺海域における潜水艦の活動を活発化させていることは間違いない。

アメリカ海軍原潜を補捉し追い払ったというのはあくまでもロシア側の主張だが、ハワイ州パールハーバーならびにワシントン州バンゴールを本拠地とする米海軍太平洋艦隊攻撃原潜は、カムチャツカ半島のペトロパブロフスク・カムチャツキーを本拠地とするロシア太平洋艦隊原子力潜水艦の動向を探知し捕捉するため、ベーリング海からオホーツク海にかけての海域に出動しているものと思われる。そして、おそらくはオホーツク海に潜入を試みた1隻がロシア側によって捕捉されたのであろう。

海軍力再興を疎かにするバイデン政権

いずれにせよ、アメリカ国防戦略が主たる仮想敵筆頭に掲げている中国と軍事的に対抗するためには、かつては世界最強と言われていたアメリカ海軍を再興しなければならないし、米露対決は陸上戦力が主役となるとはいっても戦力の復活著しいロシア海軍との対決に勝利できるだけのアメリカ海洋戦力の存在は不可欠である。

このように海軍力再興の努力こそアメリカの安全保障にとって最優先課題であることは自明の理である。

それにもかかわらず海軍力再興を疎かにし、その一方でウクライナ危機を過度に騒ぎ立てる(注)バイデン政権の姿勢には、大局的な国防に対する本気度が欠落していることは明白だ。したがって、少なくともバイデン政権が続く間は、東アジア西太平洋戦域における中国の軍事的優勢にますます拍車がかかることは確実と言えよう。

(注)アメリカ海軍などの対中強硬派の人々によれば、バイデン政権はウクライナ危機に対しても真剣に向き合っていない。ロシアに対して断固たる姿勢を示すと言っているものの、現実にはロシア侵攻軍をウクライナに踏み込ませないような強力な措置を発動する覚悟はまったく見られない。実際の戦闘に際して現地の情報戦で重要な役割を果たす大使館をはじめとする外交団に退避命令を発していることからもそれは明らかである、ということである。

[もっと知りたい!続けてお読みください →]  F-35Cが着艦失敗、「世界最強」の米空母打撃群がさらした醜態

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(出典 news.nicovideo.jp)

<このニュースへのネットの反応>

ロシアに対する弱腰はトランプ(笑)の負の遺産じゃないのか?

やるならやるよ?ってメッセージだったんじゃないかな。わざと原潜ロシアに探知させて

現状では中国の脅威がロシアのそれを上回っている。中東のウクライナよりインド太平洋海域に重心を置くのは戦略として間違ってはいない。

中国との対決に舵を切ったトランプ政権は大海軍の再興を掲げたものの、その後のアメリカ海洋戦力の強化が順調に進んでいるとは言えない。←オバマ&バイデンの民主党が議会とマスコミで徹底的に足を引っ張っているからな。

FAM8

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