昔、昭和時代には、「シーモンキー(Sea-Monkeys)」というペットが一時期流行しました。
最近はあまり話題には上りませんが、以前はエリマキトカゲやウーパールーパーなど、珍しい生き物が流行することがよくありました。
1970年から1980年代には、「シーモンキー」という生き物がブームとなりましたが、ご存知でしょうか?
今回は、この「シーモンキー」について調査してみました。
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「シーモンキー」商品がブームになった時代!
昭和40年代当時、謎の生命体である「シーモンキー」を卵から孵化させて飼育するキットが発売されました。
培養液と卵の粉末を水に溶かすと、「シーモンキー」が誕生するという驚きの商品でした。
数億年前から存在し、卵の状態で何年も何十年も生き続ける奇跡の生き物です。
水を与えるだけで孵化して育つので、“タイムトラベラー”や“生きた化石”とも呼ばれていました。
「いまアメリカでスゴ~イ人気」「タイムカプセルにのってきた!」といったキャッチコピーや、インパクトのあるパッケージイラスト、「シーモンキー」というユニークな名前は“海の怪獣”を想像させ、当時の子どもたちの心を鷲掴みにしました。
当時の株式会社テンヨーが発売し、1987年に通信販売商品としてツクダオリジナルから発売され、ツクダが倒産した後は2019年にハピネットが発売しました。
小さなプラスチック水槽に2種類の乾燥粉末と餌のセットが含まれており、テンヨー版の外箱にはアルテミアの胴体に人の顔と手足が付いたイラストが描かれていました。
「いまアメリカで大人気のパッケージ」という表現からも分かるように、昭和時代にはよく「アメリカから輸入された」というタイプのアイテムだったのです。
不思議な水生生物で、猿に似た動物だということで、子供たちの興味を引きました。アメリカではより非人間的ながらも人間に似たイラストが使われています。
シーモンキーのブームの原因は、その独特な特性(乾燥した卵に水を加えるだけで生命が始まる)や、手軽な飼育方法が挙げられます。
さらに、子供たちの好奇心を刺激するマーケティングも影響していたと考えられます。
シーモンキーのブームは、子ども向けの学習雑誌の付録やガチャガチャ、通信販売などで手軽に入手できたため、広く普及しました。
特に学研の付録として提供されたことは、子どもたちに馴染みがあった要因の一つです。
1972年に「プランクトン飼育セット」として始まり、1971年の学習指導要領改訂により追加された「水中の小さな生物」単元に準拠したこのセットは、1980年に「小エビ」または「ブラインシュリンプ」と名前を変えて5年生向けの教材となりました。
その後、1987年まで使用され続け、1984年からは「おばけえび」として1年生の夏の付録としても定着しました。
「ちびまる子ちゃん」の「まる子、シーモンキーを飼う」の巻(2001年4月22日放送)が記憶に残っています。
クラスメイトのペットの話を聞いていたまる子が何か飼いたくなるという内容で、お父さんもお母さんも許してくれるわけがありませんが、いとこのヨッちゃんが「シーモンキー」の飼育キットを持ってきてくれて飼育をするというような話でした。
シーモンキーの正式名称は「アルテミア」!
シーモンキーは1957年にアメリカで「インスタントライフ」として販売され、1962年に「シーモンキー」という名前が付けられました。
日本では1971年にテンヨーが輸入し、販売を始めました。
シーモンキーという生物は実際には存在せず、「シーモンキー」という商品名は実際には「アルテミア」という節足動物を指しています。
シーモンキーの正体は、節足動物・甲殻亜門・鰓脚綱・サルソストラカ亜綱・無甲目・ホウネンエビモドキ科の「アルテミア」属が愛玩用・観賞用に改良された品種です。
その見た目からエビやカニに近い生物と思われがちですが、実際には昆虫と同じ節足動物の一種です。
シーモンキーは、もともとアメリカやヨーロッパの内陸塩水湖で生活している生物で、日本では自然には生息していません。
商品名をとっつきやすい「シーモンキー」にしただけで、シーモンキーという生物は存在しません。
シーモンキーは別名「ブライン・シュリンプ」とも呼ばれています。
ブラインは、英語で「塩水」、シュリンプは、「小エビ」という意味で、つまり、「塩水にいる小エビ」というわけです。
熱帯魚の餌として利用される「ブラインシュリンプ」は、アルテミアという生物の一種で、シーモンキーは、ブラインシュリンプを改良したものです。
ブラインシュリンプはエビのような姿をしていますが、実際にはエビではありませんが、エビのような形をしたプランクトンなのです。
シーモンキーの名前の由来は?
「シーモンキー(Sea-Monkeys)」という名前は、その生物の特徴とマーケティング戦略に基づいています。
実際には、ブラインシュリンプ(Artemia salina)という小さなプランクトンですが、水中での動きが猿(モンキー)のように見えることからこの名前が付けられました。
1960年代にアメリカの発明家、ハロルド・フォン・ブラウンハット(Harold von Braunhut)が子供たち向けの教育玩具として売り出す際に、魅力的で想像力を掻き立てる名前として「シーモンキー」という名前を選びました。
また、「シー」は海や水の生物を連想させる神秘的なイメージを、「モンキー」は楽しい感覚や子供たちに親しみやすいイメージを与えることからこの名前が付けられました。
シーモンキーの名前は、その生物の特徴だけでなく、子供たちの興味を引き、教育的な遊びとしての魅力を高めるためのマーケティング戦略の一環として考えられたものです。
近年、シーモンキーの飼育キットが復活!
水だけで本当に生まれる!あのシーモンキーが帰ってきた!シーモンキーの飼育キットは、2019年にハピネットから「海の動物園!シーモンキーズ(ブルーセット/マゼンタセット)」が登場しました。
シーモンキーは、水温が20℃以上の水槽に卵を入れると24時間ほどで孵化し、約1ヵ月で体長1cmほどの大きさまで成長します。
環境によって変わりますが15~20日ほどで大人になり、3~4ヶ月ほど生き続けます。