ダイハツ工業が自動車の大量生産に必要な「型式指定」の認証申請で不正をしていた問題で、国土交通省は、16日、特に悪質な不正を確認したため、ダイハツ・グランマックス、トヨタ・タウンエース、マツダ・ボンゴの3車種の「型式指定」を取り消す方針を発表しました。
これは道路運送車両法に基づく異例の措置です。
この３車両の「型式指定」の取り消しで、既にこの車両を保有している、あるいは購入を考えていた人には、どんな影響があるのでしょうか？
「型式指定」の影響についてまとめてみました。
Contents
自動車の大量生産に必要な「型式指定」とは？
自動車の大量生産には、さまざまな規制や基準をクリアする必要があります。
そのうちの一つが、国土交通省による「型式指定」です。
「型式指定」とは、自動車の構造や性能が、道路運送車両法の基準を満たしていることを証明する制度です。
「型式指定」を受けるために、自動車メーカーは、以下のような書類を国土交通省に提出する必要があります。
- 型式認定申請書
- 型式認定申請書添付書類（自動車の構造や性能に関する資料）
型式認定申請書には、自動車の名称、型式、製造者、車両の寸法や重量、エンジンやブレーキなどの性能に関する情報が記載されています。
型式認定申請書添付書類には、これらの情報を裏付ける資料が添付されます。
国土交通省は、これらの書類を審査し、自動車の構造や性能が基準を満たしていることを確認した上で、型式指定を行います。型式指定を受けた自動車は、道路運送車両法に基づいて、ナンバープレートの交付や車検を受けることができます。
「型式指定」の目的
型式指定の目的は、自動車の安全性や環境性能を保証することです。
自動車は、道路を走行する乗り物であるため、安全性や環境性能が十分に確保されていることが重要です。
型式指定制度は、自動車メーカーに対して、これらの基準を満たす自動車を製造するよう義務付けることで、自動車の安全性や環境性能の向上を図っています。
型式指定の流れ
型式指定の流れは、以下のとおりです。
- 自動車メーカーが、国土交通省に型式認定申請を行う。
- 国土交通省が、型式認定申請書と添付書類を審査する。
- 国土交通省が、型式認定を行う。
- 型式認定申請から型式指定まで、通常は数か月かかるといわれています。
「型式指定」には、以下の3種類があります。
- 新規型式指定
- 変更型式指定
- 再型式指定
「新規型式指定」は、自動車メーカーが初めて製造する自動車に対して行う型式指定です。
「変更型式指定」は、既に型式指定を受けている自動車の構造や性能を変更する場合に行う型式指定です。
「再型式指定」は、型式指定を受けた自動車の構造や性能を大幅に変更する場合に行う型式指定です。
「型式指定」は、自動車の大量生産に必要な制度です。
「型式指定」を受けていない自動車は、道路運送車両法に基づいて、ナンバープレートの交付や車検を受けることができません。
そのため、自動車メーカーは、必ず「型式指定」を受ける必要があります。
また、「型式指定」は、自動車の安全性や環境性能を保証する制度でもあります。
「型式指定」を受けた自動車は、一定の安全性や環境性能が確保されていることが国土交通省によって認められているため、消費者は安心して購入することができます。
現在この車両に乗っている人は「型式指定」でどうなる？
「型式指定」取り消しの影響は、ダイハツだけでなく、親会社であるトヨタ自動車やマツダからOEM供給を受けている車種にも及んでいます。
これらの車種には試験車両に不正な加工が施され、申請された自動車と異なる構造の自動車で試験が行われたと判断されたとのことです。
そこで気になるのは、既に販売されて、自動車に乗っている人の車両はどういう扱いになるかということです。
とりあえずは、「型式指定」が取り消されても、すでに販売された車両は問題なく乗ることができます。
しかし、再取得まで新たな車両の生産ができなくなります。
再取得には約2カ月かかる見込みであり、つまり、特に悪質な不正が発覚したため、ダイハツの「グランマックス」、トヨタ自動車に供給されている「タウンエース」、そしてマツダに供給されている「ボンゴ」の3車種について、量産に必要な認証である「型式指定」を取り消す方針が確定し、これにより、再取得するまで実質的に生産ができなくなりますので、経営に大きな打撃を与える可能性があります。
