2024年1月22日、「週刊文春」の報道により、女性に性的行為を強要したとされ、名誉を毀損されたとして、お笑いコンビ「ダウンタウン」の松本人志さんが文芸春秋に対して損害賠償などを求める訴えを起こしたことが発表されました。
気になるのは、この損害賠償訴訟は、松本人志さん個人が提訴したということです。
それはなぜなのでしょうか?
この記事では、松本人志さんと吉本興業経営陣との関係、そして性加害疑惑の行方次第では、両社が難しい関係になることを考えることで、その疑問について考えてみます。
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吉本経営陣との溝?吉本の新旧経営陣はダウンタウンの歴代マネージャー!
現時点で注目されているキーパーソンは、「スピードワゴン」の小沢一敬さん、たむらけんじさん、「パンクブーブー」の黒瀬純さん、そして、「クロスバー直撃」の渡邊センスさんの4人で、彼らは、松本人志さんの女衒の役割を果たしたとされるメンバーです。
彼らのうち、小沢一敬さんを除いては全員が吉本所属ですが、吉本にとってみれば「この時点」で注目されているのはあくまでタレントレベルの話に過ぎません。
一方、吉本興業の新旧の経営陣を見てみると、昨年会長を退任した大﨑洋氏以外の現社長の岡本昭彦氏、副社長の藤原寛氏、元吉本音楽出版社長の中井秀範氏、福岡吉本支社長の新田敦生氏など、ダウンタウンの歴代マネージャーが一堂に会しています。
複数の報道によると、実際のところは、松本人志さんの方が「上」の立場にあったとも言われています。
「昨年5月、松本さんの最大の理解者だった大崎洋前会長が会社を去った。これにより、松本さんと対等に話せる人間は社内にひとりもいなくなりました。岡本昭彦社長と藤原寛副社長は元ダウンタウンマネージャーとして出世を遂げましたが、力関係では完全に松本さんが上。一連の報道について、松本さんに進言や忠告ができる人間は皆無でした」・・・ 経営陣と松本のあいだで溝が深まった背景には、こんな事情もある。 「昨年の夏ごろ、松本さんが吉本の幹部に、『中堅芸人のギャラを上げてくれ』と要求したそうです。後輩芸人の声をうけてのことだったんでしょう。これを幹部は渋った。この一件により、経営陣と松本さんの溝が深まってしまった」 2024.01.12週刊現代『まるで「裸の王様」…!事務所に対し「ギャラを上げろと」…!松本人志「休止宣言」のウラにあった「吉本興業での孤立」』
そのため、一部では今回の騒動を、歴代マネージャーの誰かが情報をリークしたという説や、彼らが松本人志さんに対するクーデターを企てたという見方もあるそうです。
松本人志の代理人は「八重洲総合法律事務所」
吉本興業は22日、週刊文春が報じた松本人志さんに関する疑惑について、文芸春秋などに対して名誉毀損に基づく損害賠償請求及び名誉回復請求を求める訴訟を起こしたことを発表しました。
松本人志さんの代理人として、「八重洲総合法律事務所」の田代政弘弁護士のコメントを掲載しました。
「提訴のお知らせ」と題したコメントで、「本日、松本人志氏は、株式会社文藝春秋ほか1名に対して、令和5年12月27日発売の週刊文春に掲載された記事(インターネットに掲載されている分も含む)に関し、名誉毀損に基づく損害賠償請求及び訂正記事による名誉回復請求を求める訴訟を提起いたしました」と説明しました。
2024.01.22 当社所属タレント 松本人志に関するお知らせ 当社所属タレント 松本人志の代理人弁護士より、本日、令和5年12月27日の一部週刊誌報道に関し、訴訟を提起した旨の連絡を受けましたので、お知らせ致します。 本件につきましては、係争中の案件となりますので、当社にお問い合わせいただきましてもお答えいたしかねます旨、予め申し添えさせていただきます。 以下、松本人志の代理人によるコメント全文を記載いたします。
提訴のお知らせ 本日、松本人志氏は、株式会社文藝春秋ほか1名に対して、令和5年12月27日発売の週刊文春に掲載された記事(インターネットに掲載されている分も含む)に関し、名誉毀損に基づく損害賠償請求及び訂正記事による名誉回復請求を求める訴訟を提起いたしました。 今後、裁判において、記事に記載されているような性的行為やそれらを強要した事実はなく、およそ「性加害」に該当するような事実はないということを明確に主張し立証してまいりたいと考えております。 関係者の皆様方にはご心配・ご迷惑をお掛けいたしますが、ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。 松本人志氏 代理人 八重洲総合法律事務所 弁護士 田代政弘
吉本興業公式サイト『当社所属タレント 松本人志に関するお知らせ』
所属の吉本興業が裁判を起こさないのはなぜ?
歴代マネージャーの誰かの松本人志さんに対するクーデター説も聞かれる中、松本人志さんの性加害疑惑に関わって、所属の吉本興業が裁判を起こさないのは、以下の理由が考えられます。
松本の「女遊び」を吉本興業は把握していた!?
上記の通り、ダウンタウンの元マネージャーたちが吉本社内で出世を果たし、要職についていることは紛れもない事実です。
そして、吉本総合芸能学院(NSC)に入学してきたダウンタウンの才能を見抜き、松本人志さんが「兄貴」と慕う大﨑氏以外は、立場としては、松本人志さんのほうが「上」だったという報道が出ているのもまた事実です。
そんな松本人志さんと言えば、250万部を売り上げた単行本『遺書』(朝日新聞出版)でも確認できる通り、以前から「女好き」であることを公言しています。
となると、歴代のマネージャーたちは、松本の女遊びを把握していないはずはないと推測するのは自然なことでしょう。
最近のコンプライアンス基準では、「知らなかった」というエクスキューズが通じない傾向が強いです。このこと自体、吉本興業にとっては相当不利な状況と言えるでしょう。
しかしながら、まだ「それだけ」ならば弁明の余地は残されています。
もしも、過去に吉本興業のマネージャーが女性を松本人志さんにアテンドしたり、他の後輩芸人にアドバイスをしたり、吉本興業自体が関与したりした事実があった場合、それが発覚すれば吉本興業自体が完全に終わってしまう可能性があります。
訴訟に勝てるかどうかの見通しが不透明な状況では、吉本興業としても、裁判に踏み切るのは慎重な判断が必要になるでしょう。
裁判によるイメージダウンを避けたい・・・裁判は、当事者だけでなく、周囲にも大きな影響を与えます。仮に吉本興業が裁判に勝訴したとしても、松本人志さんのイメージが回復するかどうかは不透明です。
また、裁判の過程で、松本人志さんのプライベートな情報が公になる可能性もあります。
そうした情報が、松本人志さんのイメージをさらに悪化させる可能性もあります。
吉本興業としては、裁判によるイメージダウンを避けたいと考え、裁判に踏み切らないという判断をするかもしれません。
吉本興業、松本人志さんと一緒にアウトになる可能性が・・
松本人志さんは、吉本興業の看板タレントとして、長年にわたって活躍してきましたがここのと声尾良い関係とは言えなくなっているようです。
吉本興業としては、松本人志さんとの関係をこれ以上悪化させたくない考えているでしょう。
裁判を起こすと、松本人志さんとの信頼関係が損なわれる可能性がありますが、それだけでなく、吉本興業の知られたくない企業体質が暴露される可能性もあります。
万が一、松本人志さん個人の問題だけではなく、吉本興業も関係しているということになれば、吉本興業自体が旧ジャニーズ事務所のように解体していくことにつながりかねません。
現在社長を務める岡本氏はマネージャー時代、ブリーフ一枚のみを身に着け猫を抱きつつ『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで』(日本テレビ系)に「岡本さん」として頻繁に登場していたことで知られている。副社長の藤原氏はと言えば、大人気を誇った『絶対に笑ってはいけないシリーズ』のレギュラーとも言うべき存在で、出演者が笑った際に流される「●●、アウトー」の声であまりにも有名だ。 そんな半ば「タレント」のように扱われ、テレビ画面にもたびたび写りこんでいた元マネージャーの経営陣たち。その他の元マネージャーたちの中には、業界で顔や名前が知られている者もいる。先の事情通はこうも語る。 「彼らは、合コンなどの場でも女子ウケしやすかったのではないでしょうか。そんな背景もあり、今月中もしくは来月早々とも言われる文春砲の続報や、新たな告発者の登場などの追加報道を待つ私たち芸能記者は気が気でないんです」
2024.01.16 MAG2NEWS『松本人志に加え「もしも経営陣が“関与”なら…」吉本興業に囁かれる「解散」の可能性』
松本さんは今回の件で非常に不利な立場になり、メディアとの関係で吉本興業側に損害を与える可能性もあるということです。
吉本興業側が何らかの責任を負わなければいけない状況になるという意味では、これまでなんとか関係を保ってきた両者も、今後は悪化する可能性もあります。
利益が相反する立場にあるということになります。
ですから、たとえば吉本興業側にも法律アドバイザーがいると思いますが、松本人志さんは吉本興業とは独立して、自分で弁護士を選んで裁判を戦わなければならない立場にあると思います。
以上の理由から、吉本興業が裁判を起こさないことは理解できます。
松本人志個人での裁判、吉本興業が「見限ったっていうことはありえない」
所属の吉本興業が裁判を起こすのではなく、松本人志さんが起こした裁判にサポートする意向について、細野敦弁護士が1月14日、TBS系「サンデージャポン」に出演し、週刊文春が報じたダウンタウン松本人志さんと一般女性への性的行為強要疑惑に関する裁判について解説しています。
この中で、細野敦弁護士は、所属の吉本興業が裁判を起こすのではなく、松本が起こした裁判にサポートする意向について、「吉本興業が最初に裁判のコメントを出しましたけど、もともと法的には松本さんが個人で名誉毀損なので、文春を訴えるという構造しかありえない。特に事務所が見限ったっていうことはありえない」と語っっていました。